
基本情報を取りたいのですが、仕事が忙しくて勉強時間が取れません
基本情報技術者試験を取りたいと思い勉強を始めたけど、仕事が忙しかったり、家事・育児があるため勉強時間が取れないという方多いですよね。
この記事では情報処理試験を攻略した私が、基本情報技術者試験の学習計画の立て方、勉強のしかたを解説します。



できるだけ本質を語ります
この記事の全体構成はこんな感じです。


学習計画と継続する仕組みがパッケージ化された通信講座を参照したい方はこちらを参照ください。


- ITエンジニア歴24年(現役)
- マネージャー兼システムアーキテクト
- 国家資格 FE・SW・SA・PM 保有
- 孫請けSES ⇒ SIer ⇒ 起業を目指し中
- 輝くエンジニアを増やしたい
twitter : (@evolution_Avi)
基本情報技術者試験に合格できない原因の整理


数字から見る試験に落ちた原因
参考書の内容が難しすぎて勉強が進まず挫折。
過去問を解いてみたが、点数が低すぎてもちーベーションが下がり挫折。
途中で仕事が忙しくなり、最後まで勉強しきれず不合格。
勉強を開始したのが試験日の2週間前で十分勉強できず不合格。
基本情報に合格できなかったよくある原因ですが、これらをまとめると以下のようになります。
- 途中で挫折した
- 勉強時間が足りなかった
他にも落ちた原因は様々あると思いますが、結果的にこの2つに集約されると思っています。
基本情報技術者試験は、申し込みをしたけど受験していない人が毎年約20%います。
これは、5人に1人が挫折していると言えます。
※申し込みの手違い、受験日に急用が入ったという人もいるとは思いますが少数でしょう。
試験時期 | 応募者数 | 受験者数 | 受験割合 |
---|---|---|---|
令和3年秋 | 60,529 | 52,879 | 87% |
令和3年春 | 37,048 | 32,549 | 88% |
令和2年10月 | 60,411 | 52,993 | 88% |
令和元年秋 | 91,399 | 66,870 | 73% |
平成31年春 | 77,470 | 54,686 | 71% |
また、合格率は約36%のため、6割以上の人は勉強時間が足りなかったと推測できます。
※試験中に急用が入ったとか、受験番号を書き間違えた人もいるかと思いますが少数でしょう。
試験時期 | 受験者数 | 合格者数 | 合格割合 |
---|---|---|---|
令和3年秋 | 52,879 | 21,190 | 40% |
令和3年春 | 32,549 | 13,544 | 42% |
令和2年10月 | 52,993 | 25,499 | 48% |
令和元年秋 | 66,870 | 19,069 | 29% |
平成31年春 | 54,686 | 12,155 | 22% |



勉強時間が足りなかったとは限らないのでは?
合格するために必要な勉強時間をやりきることができれば合格できるということを前提にすれば、挫折せずやりきったが合格できなかった原因は勉強時間が足りなかったと捉えることができます。


試験に落ちないための対策


なぜ試験に落ちるのか原因を今一度振り返ってみましょう。
- 途中で挫折した
- 勉強時間が足りなかった
ということは対策としては以下を考えれば良いことになります。
- 途中で挫折しない仕組みを構築する
- 合格するために必要な勉強時間を見極める
どちらも難しいのですが、1つ1つ分解して解説していきますので、一緒に考えていきましょう。
挫折を防ぐ土台となる目的をつくる


まずは途中で挫折しない仕組みを構築していきましょう。
そのためには基本情報技術者を取得する目的を明確にする必要があります。
基本情報技術者試験に合格するために目的が必要なわけ
基本情報技術者の資格を取ろうと決めたとき、そう思い立ったきっかけは何ですか?
- 会社が推奨しているから
- 資格手当が付くから
この程度の想いであれば不合格率90%です。ぜひ他のことに時間を使うことをおすすめします。
基本情報技術者試験の合格率は約36%。試験には午前、午後があり、それぞれ対策が必要になります。いくら実務で経験が豊富だったとしても、試験勉強・対策をせずに合格することは難しいです。
基本情報技術者試験に合格するには、勉強を計画通りにやりきる必要があります。
そのためには、途中で挫折しない「目的」が必要というわけです。
現時点で目的がなかったとしても、今決めてしまいましょう。
基本情報技術者の市場価値



基本情報って市場価値はあるのかな?
基本情報技術者試験は、ITエンジニアの登竜門と言われている資格であり、保有者も多いです。
情報系の大学や専門学校に行った方は学生時代に取得する方も多いかと思います。
そのため、市場価値はそこまで高くないと言えます。
市場価値が出てくるのは、もう1ランク上の応用情報技術者試験からというのが一般的な認識で、基本情報は応用情報に挑む前の予選的なイメージです。
もちろん非保有者と比べて差別化になることは確かなので、取得して損することはありません。
5年後になりたい自分を目的にする
基本情報技術者試験はキャリアアップのための通過点です。5年後にどうなりたいかを考えましょう。
- プロジェクトリーダーになり、案件を成功させる
- 本業と副業で今の収入の倍を稼ぐようになる
- フリーランスとして独立して、やりたい仕事をやれるようになる
5年後に設定したゴールに到達するために、基本情報技術者試験が必要と考えることで、途中で挫折しそうになったときに踏みとどまる大きな理由ができます。


基本情報技術者試験の参考書選び


目的を決めて受験の決意を固めたら 、1歩目の行動として参考書を買いましょう。
基本情報技術者試験とはどのような試験なのか、どのような勉強が必要かをある程度知った上で計画を立てるためです。
参考書の選び方
基本情報技術者の参考書はたくさんありますが、これを選んではダメというようなハズレ参考書はありません。
どの参考書も合格するには十分な情報がそろっています。
しかし、以下のような特徴がありますので、自分に合ったものを選びましょう。
おすすめの参考書5選



それでは、おすすめの参考書を紹介していきます。
キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者 令和05年
イラストを多く使い、分かりやすくかみ砕いて説明しているところが特徴。
初めて受験する方、仕組みからきちんと勉強したいと考えている方に最適です。
逆に受験経験があったり、ある程度の知識がすでにある方は物足りないかもしれません。
ページ | 736ページ |
出版社 | 技術評論社 |
価格(amazon) | 2,310円 |
令和05年 基本情報技術者 合格教本
幅広い出題範囲を網羅した王道のテキストと言われています。
巻末には本試験最新20回分の過去問題に挑戦できる演習アプリ「問題演習Webアプリ」が付属しており、家では書籍、スキマ時間はアプリを使うことで効率よく勉強できます。
ページ | 576ページ |
出版社 | 技術評論社 |
価格(amazon) | 1,848円 |
令和05年【上期】基本情報技術者 パーフェクトラーニング過去問題集
こちらは問題集になります。
午後問題の勉強方法として過去問題を繰り返し行うことが有効ですが、2023年4月からの新制度に対応しており、計4セット(科目A+B)の模擬試験を掲載した、基本情報技術者試験の問題集です。
ページ | 624ページ |
出版社 | 技術評論社 |
価格(amazon) | 1,496円 |
うかる! 基本情報技術者 [科目B・アルゴリズム編] 2023年版 福嶋先生の集中ゼミ
午後問題はアルゴリズムの攻略が必須です。プログラミング未経験者やアルゴリズムをよく理解していない方はやさしく学べる参考書となります。
アルゴリズムの解説はどうしても難しくなってしまいがちですが、本書はイラストが豊富で頭に入ってきやすいです。
アルゴリズムについて理解に自信がない方はこの参考書で自信を付けましょう。
ページ | 408ページ |
出版社 | 日本経済新聞出版 |
価格(amazon) | 1,980円 |
トータル勉強時間を決める


トータル勉強時間を決めるわけ
参考書を読んでどのような勉強をすればよいかがある程度掴めたら、トータル勉強時間の合格ラインを決めます。
なぜトータル勉強時間で合格ラインを決めるのか?
それはゴールが明確になり、常にペースを把握・調整できるからです。
勉強時間ではなく、やることを目標にした場合・・・
例えば、「参考書を読破して過去問を3年分実施しよう」という目標を決めたとします。
やろうとしていることをすべて実施すると300時間以上かかるのに、実際は300時間を捻出することが不可能だったりします。
計画時点ではやる気に満ち溢れているため出来る気がするのですが、これではスタート時点から不合格が約束されているようなものです。
かたや、最初にトータル勉強時間を200時間と決めた場合、ゴールが明確になります。
勉強をすれば必ずゴールに近づくため、モチベーションも保てますし、「折り返し地点で80時間か、もっとペースを上げよう」とか、「第1章に5時間も掛けてしまった、これでは参考書の読破だけで60時間使ってしまうので、ある程度理解しているところは読み飛ばそう」など調整しながら進めます。
トータル勉強時間を決め、その時間やりきることを目標にすることで挫折しにくくなります。




トータル勉強時間をざっくり決める
まず、ざっくりトータル勉強時間を決めましょう。
トータル勉強時間は過去の受験歴や経験によってかなり個人差がありますので、基本情報技術者試験に合格した人がどのくらい勉強したのか確認してみましょう。
iTEC社の合格者の声まとめてみました 基本情報技術者試験(FE)では、35人の合格者の情報が掲載されています。


こちらは35人の平均のため、1発合格の人もいれば、4回目に合格した人もいます。
そこで、1発合格した人20名と、複数回受験した人13名の平均学習時間を見てみましょう。
※複数回受験した人の中に勉強時間が1,200時間という少し現実離れした数字が2つあったため除外しています
受験回数 | 平均学習時間 |
---|---|
1発合格 | 159時間 |
複数回受験 | 191時間 |
大きな違いは見られませんでしたが、150~200時間くらい必要そうだということが見えてきます。
トータル勉強時間の妥当性を検証し、調整する
トータル勉強時間をざっくり決めたら、妥当性を検証し調整していきます。
①受験日までの日数で勉強時間が捻出できるか確認する
まずは、トータル勉強時間が本当に捻出できるかを確認します。
エクセル等でカレンダーを作り、シミュレーションしましょう。
以下のようなことを意識しながら。
- 1日5時間など、無理な計画にしない
平日2時間、休日4時間でも多いくらい。これで月80時間 - 平日の朝や休日など、確保しやすい時間帯に勉強するルールを決める
- 勉強のために計画的に有給を取る
- スキマ時間を有効活用する
②過去問を解いてみて、学習時間が妥当であるか確認する
午前、午後の過去問を解いてみて、現時点でどのくらいのレベルにあるか確認します。
午前問題が40%以上取れるのであれば(合格は60%)、後述する過去問道場を実施することで、午前は50時間くらいあれば足りるでしょう。
40%取れない場合は、それ以上の勉強時間を確保してください。
午後は必須問題と選択問題があります。
問 | 問題 | 必須/選択 |
---|---|---|
1 | 情報セキュリティ | 必須 |
2~5 | ソフトウェア ハードウェア データベース ネットワーク ソフトウェア設計 プロジェクトマネジメント サービスマネジメント システム戦略 経営戦略・企業と法務 | 4問中2問選択 |
6 | データ構造及びアルゴリズム | 必須 |
7~11 | C言語/Java/Python アセンブラ言語/表計算 | 5問中1問選択 |
まずは、直感で点数が取れそうなジャンルを選び、解いてみましょう。
午後試験も40%以上取れるのであれば(合格は60%)、午後は100時間くらいあれば足りるでしょう。
40%取れない場合は、それ以上の勉強時間が必要となります。
このように午前、午後に必要な時間を積み上げてトータル勉強時間を求めます。
ただし、途中で柔軟に対応できるようにトータル勉強時間の4分の1程度のバッファを設けておきましょう。
例えば以下のような感じです。
分類 | 勉強時間 | 勉強方法 |
---|---|---|
午前 | 50時間 | 過去問道場 |
午後 | 100時間 | アウトプット勉強法 |
バッファ | 50時間 | 予備時間 |
勉強の詳細スケジュールを決める


詳細スケジュールは綿密に立てると守れなかったときに挫折しやすいため、ざっくり計画し、直近だけ詳細に立てます。
そしてトータル勉強時間内で消化できるようにリスケしながら進めていきます。




詳細スケジュールは自分の好きなように立てた方が良いと思うため、細かく解説はしませんが、とにかくトータル勉強時間をやりきることができるように、スケジュールを立てましょう。
仕事が忙しくなったり、勉強のやる気が起きない時もあると思いますが、そんなときはすぐリスケします。
仕事ではないので、スケジュール通り進まなくてもOKです。
ただし、しつこいですがトータル勉強時間をやりきることが大前提です。
具体的なスケジュールの作成方法は別記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
エクセル進捗管理表のダウンロードもできます!
多忙なITエンジニアが働きながら資格を取るスケジュール管理方法
基本情報技術者試験午前・午後の勉強テクニック


過去問道場
仕事をしながら勉強するとなると、時間の捻出がネックになります。
そこでスキマ時間を使って勉強することが有効になるのですが、基本情報技術者試験ドットコムの過去問道場が最適です。
無料で使えるWebサービスで、PCでもスマホでも利用できます。
午前問題は2,500問以上からランダムに出題され、詳細な解説まであります。
また、学習履歴が保存されているため、ジャンルごとの成績など様々な学習データが参照できます。
無料とは思えないサービスのため、使用している人は多いです。
アウトプット勉強法
午後の出題範囲は広く、覚えなくてはいけないことはたくさんあります。
エビングハウスの忘却曲線でも言われるように、人が何かを学んだとき、
- 1時間後には56%忘れる
- 1日後には67%忘れる
- 6日後には75%忘れる
そう、すぐ忘れるんです。
そこでオススメなのは、覚えにくそうな概念や考え方が出てきたら図解し、アウトプットすることです。
アウトプット先はPowerPointでもExcelでもよいですし、何なら紙でもよいです。
そして、定期的に自分で描いた図解をサラっと見直したり、過去問で不正解になったときにも図解を見直して記憶に定着させます。
図解は、基本的に参考書に書いてあることを写すのですが、自分なりに要約してシンプルにしたり、自分の好きな色、形にすることで記憶に残りやすくなります。
誰に見せるわけでもないので、細部にこだわらず時間をかけずに描くとよいでしょう。
基本情報技術者試験当日の過ごし方


試験日前日まで計画通りに勉強できたら、あとは当日に全力を出し切る行動をします。
試験前日 | 猛勉強はせず、落ち着いて過ごし、夜は早く寝る |
試験当日朝 | 普段通りの朝食を済ませ、試験開始1時間前に到着するように出かける |
試験開始前 | 事前に印刷しておいた答え付きの午前過去問をパラパラめくる。※問題は解かず、答えを覚える |
昼休み | 控え目に昼食をとり、エネルギーをチャージする(昼寝をする・エナジードリンクを飲む) |
試験会場で参考書を真剣に読んでも効果はありません。
午前試験前、答えを覚えるために過去問をサラッと見る以外は、リラックスしてエネルギー回復に努めましょう。
多忙でも基本情報技術者試験に合格する計画の立て方と勉強法まとめ


いかがだったでしょうか?
この記事では、基本情報技術者試験に落ちる原因を「途中で挫折する」、「勉強時間が足りない」という2つに単純化し、以下の対策を打ち出しました。
- 途中で挫折しない仕組みを構築する
- 合格するために必要な勉強時間を見極める
そして、挫折を防ぐ土台となる目的とトータル勉強時間を目標とすることの重要性を解説した後、トータル勉強時間の決め方、詳細スケジュールの考え方を説明しました。
午前・午後のテクニックも解説しましたが、情報量は少なめでした。
記事の冒頭でも述べたとおり、万人に有効なテクニックなどは無く、勉強しながら自分なりのテクニックを作っていくものだと思います。
私はこの方法でシステムアーキテクト、プロジェクトマネージャを取得しました。
合格するために必要な勉強時間を見極め、設定した勉強時間をやりきれば合格できると思っています。
また、一度この方法で試験に合格すると、次に挑戦する応用情報技術者試験でも同じ方法が使えるため一生もののスキルになります(トータル勉強時間を見積もる精度も上がります)
最後に、この記事を読んでいただいた方が基本情報技術者試験に合格することを祈っています。
計画を立てるのが苦手、どうしても途中で挫折してしまうという方は通信講座を検討してみてください。




- ITエンジニア歴24年(現役)
- マネージャー兼システムアーキテクト
- 副業としてネットショップ運営
- ITエンジニアのスキルアップネタを発信
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Twitter:(@evolution_Avi)